INTERVIEW

オンとオフを上手に切り替え、両方を楽しむにはどうすればいいだろう。

人は休みの日にどんな過ごし方でリフレッシュを図っているのか。

「遊びの講義」では、各分野の達人たちにインタビューを敢行。

人生をより楽しくするためのヒントを探っていく。

 

【プロフィール】

小林肇さん
株式会社ASOBIBA 代表取締役CEO
大学卒業後、飲食系の企業に入社。その後、転職を経て飲食店の運営とコンサルティングを主とする会社を創立。2013年、31歳のときに都内近郊の屋内型サバイバルゲームフィールドを作るプロジェクトを立ち上げ、間もなく株式会社ASOBIBAとして法人化。休眠不動産の利活用をビジネスモデルに、サバイバルゲームフィールドを開発、運営。そのほか、アクティビティによる他企業のプロモーション支援なども行っている。

㈰

 

幸せは本当に大変な思いをしたあとに噛みしめられる

――ヨットハーバーや高級別荘が建ち並ぶ三浦半島の逗子・葉山。この国内有数のリゾートエリアを、小林さんは仕事とプライベートの両方で注目しているようだ。「実は昨日も三浦アルプスと呼ばれる山で遊んでいました」と話し、まず沢登りの魅力を語ってくれた。

 

「初めて沢登りを知った時の事なのですが、僕は学生のころ山ごもり生活にあこがれた時期があって、山にはよく行っていましたし、運動もそれなりにしている方でした。だから久しぶりの山であっても、体力的に問題ないだろうと思ったし、沢登りしようと誘われたときに、沢遊びくらいに捉えて行ったのですが、甘かったですね(笑)。

 

始めて沢登りに行った山は決して標高の高い山々ではないのですけど、すごくキツかった。水量のある川を鮭のように逆流していったり、落差10メートルもある滝をフリーハンドで登ったり。まあ、終わってみれば楽しかったんですけどね。

 

で、ようやく山頂に着くと、連れて行ってくれたアクティビティの師匠に『地図読める?』と聞かれて、白図とコンパスを渡されたんです」

 

沢登り

 

――白図とは、等高線など必要最低限の情報しか載っていない地図のことだ。

 

「師匠に『帰りは沢と違って山道だから大丈夫だよ』と励まされたものの、そこはいわゆる登山道が整備されていないところでした。腕時計の短針と長針の間に太陽を合わせて、よし、こっちが北か! みたいなサバイバル術が『名探偵コナン』に載ってたなー何て思い出しましたが、まあもちろん大丈夫じゃないわけですよ(笑)。

 

谷を行くと道が詰まることがあるので、尾根をたどって下りるといいというアドバイスをもらいました。でも、ただ歩くのにもひどく苦労する道だったんです。ハイキングで使われていない山は、腐葉土でふかふか。

 

歩いて下るんじゃなくて、ほとんど滑落していくような感じでしたけど、どうにか無事に目的地までたどり着きました。コンクリートの道路を目にした時の安堵感ヤバかったですね(笑)。

 

そこの道沿いの川べりで師匠がカセットコンロを取り出して、にんにくと卵と肉を焼いて食べさせてくれたんです。めちゃくちゃうまかった。空腹は最高のスパイスだって言うじゃないですか。それと似たようなもので、本当に大変な思いをしたあとにこそ幸せって噛みしめられるんだなーなんて、最近の生活を振り返って、反省と共に思ったんです。」

 

だれかに聞かせたくなる休日を持ってもいい

――野外料理になじみのある小林さんなら、バーベキューとも縁が深いはずだ。

 

㈫

 

「僕らが遊んでいるサバイバルゲームフィールドでは、設備としてBBQセットがおいてあるフィールドさんが多いのですが、仲間にフランス料理のシェフが参加してくれる事なんかがあり、彼が主催してくれるときは「シェフサバゲー」と言って、昼食にバーベキューを振る舞ってくれるんです。さらには食材争奪戦なんか企画してくれて、景品がオマール海老とかフォアグラとかA5ランクの和牛とか、食材が豪華なんですよ。

 

また、今年は新たに、『サードプレイス』というブランド名で、ネイチャーアクティビティを満喫できる会員制グランピング施設の展開を始めたんですね。コンセプトは『大人の秘密基地』。6月の葉山店オープンを皮切りに、八丈島、群馬水上エリアを含めた全国数拠点へと拡大していく予定ですが、葉山には室内バーベキューのレストランを設けました」

 

――グランピングは、グラマラスとキャンピングとをかけ合わせた造語。外での食事も素敵な宿泊設備も用意されている大人のキャンプの事だ。今、手軽で快適かつ贅沢にキャンプを楽しめるスタイルとして注目を集めている。

 

「今年は日本で、グランピング元年と呼ばれるみたいですよ。我々は『サードプレイス』で、カッコいい大人の休日の過ごし方を提案していきたい。寝て過ごす休日も確かに貴重ですけど、だれかに語って聞かせたくなる休日を月に一度くらい持ってもいいと思うんです。

 

サードプレイス葉山では、SUP(サップ)、シュノーケリング、シーカヤック、沢登りなどのネイチャーアクティビティを用意しています。SUPはスタンドアップパドル・サーフィンの略で、サーフボードの上に立ってパドルをこぎ、アメンボみたいに水面を移動するマリンスポーツ。すっごく面白いですよ。

 

葉山店から1キロほどの距離に、岩の小島があるんです。満潮になると姿が見えなくなる20×20メートルほどの大きさで、普段は海鳥たちの休憩所になっています。そこにSUPかシーカヤックで行って、いれたてのコーヒーを飲む。最高じゃないですか? そんな経験をしたら、だれかに話さずにはいられなくなるでしょう。

 

正しく自然と触れ合える大人はカッコいいんです。自然と遊ぶには体力だけじゃなく、マナーやルールや安全管理や知識やその他諸々学ぶことが山ほどある。それを大事な誰かに教えられるようになるまで遊んで欲しい。そうしてカッコいい大人が増えれば、その背中を見て子供は育つでしょう。それを見た子供がまたカッコいい大人になる。そしたら世の中はどんどん良くなるはずなんですよ(笑)」

 

大人が友だちをつくれる場を増やしていきたい!

――カッコいい大人の条件とは何だろう。小林さんは、「童心に返って本気で遊べること」と答えた上で、こう尋ねてきた。

 

㈪

 

「最近、友だちってできました? 昔は楽しかったと、よく大人が言うじゃないですか。あのとき何で楽しかったのか、本気になって考えてみたんです。小学校、中学校、高校と上がっていくと、学区が広がる。学区が広がると、今までとは違うコミュニティーの人たちとコミュニケーションをとらなくちゃいけなくなる。そうすると、異文化が自分の中に入ってくる。だから知らない世界の人たちと話すことによって、毎日のように発見があったわけで、それが楽しかったんだと思うんです。

 

でも、大人になった今はどうでしょう。どうして友だちができにくくなったか…それは、仕事をする上で多少は必要かもしれませんが…よくない意味で面の皮が厚くなったからじゃないかなと。せめて仕事以外の場では、その面の皮をペリっとはがしてもらいたい。そうしないとほんとの笑顔って見えないし、ほんとの笑顔を見せあわないと友達になんてなれ無いと思うんですよ。

 

サバゲーをはじめ、ASOBIBAが提供しているコンテンツは『全力で笑える』がキーワードになっています。野山を駆けずり回って最高に汗を流して、全力でハイタッチでもしたら、相手とはもう友だちじゃないですか。そんなコンテンツ世の中に多ければ多い方がいい。でもサバゲーってやるまでにハードルが多かったんです。遠いし時間もお金も掛かりそうだしとか。だから会社にしたんです。皆友だちはつくったほうがいいよね、ほんとうの友達は多いほうがいいよね、それに年齢は関係ないよね。そんな思いで会社を立ち上げてから約3年。良い仲間で始められた事もあり、サバゲーだけで13店舗出すことが出来ました」

 

――会社は急成長を遂げ、サバゲーという遊びも随分と普及した。最後に今後の目標をうかがった。

 

「去年、日本文化の総合博覧会であるジャパンエキスポに出展するため、フランスに行ってきたんですね。そこで現地の女の子に、デートはどこに行くのかと聞いたら、美術館か公園だと返ってきました。日本だったら、カラオケ、ビリヤード、ボーリング、それからサバゲー場など、恋人に限らず仲のいい人と一緒に遊びに行く場所っていっぱいあるわけです。

 

でも、外国には仲の良い人と行く場所ってあまり必要とされてない。その代わり、誰かと仲良くなる場所はたくさんある。パブとかです。そこでは、年齢、性別、職業に関係なく気軽に声をかけられるし、お酒を酌み交わせば友だちだよねという雰囲気です。逆に日本には、見知らぬだれかと仲よくなれる場が少ない。

 

僕は思うんですけど、人と触れ合うことで人は成長するし、友だちの数が多くなればなるほど、知らない世界を知る機会が増えて選択肢が増える。選択肢が増えて正しく選べるようになったら幸せを感じるタイミングが増えるんじゃないかと思うのです。

 

それなら、大人が友だちをつくれる場を増やしていきたい! 僕らは、日本一楽しい遊びのメーカーになることを目指しています。遊びは、衣食住と同じくらい大事なもの。いつでもどこでもだれでも『楽しい!』を実感できる世界の実現に向けて、これからも精進します。」

 

サバゲー写真

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BBQ公認ライター

佐藤克成

バーベキューのすばらしさ、おいしさを世に伝えるために生まれてきたといっても過言ではない。勿論、三度の飯よりバーベキューが好き。編集協力した書籍に『いますぐ使えるオートキャンプ完全マニュアル』『大満足のバーベキュー料理80』(ともに太田潤著、大泉書店刊)など、BBQ一色の人生。